日本の経済用語~新興市場・マザーズ指数とジャスダック指数の違いは~
みなさんこんにちは、もちです。
今回は2018年1月に書いた記事の情報を更新していこうと思います。
(2019年5月6日更新です)
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前回は東証1部のお話でしたが、今回は新興2市場のお話です。
いったい何が違うんでしょうか。
もしパッと出てこないようであればこの記事はあなたのためのものかもしれないです。
ワンポイント
前身のから50年近い歴史を誇る市場
そのため銘柄には50年以上の歴史を誇る銘柄(秩父鉄道等)もある。
スタンダードとグロースという区分がある。
・マザーズ
東証1部に鞍替えを目指すことをコンセプトとする市場。
上場後10年経つと市場選択制により、市場の選択を迫られることになる。
今までの変遷
前身は1963年の店頭公開制度(証券市場の審査を経ずに株が売買できる制度)
をもとに開設された証券取引所市場の補完的市場でした。
よってジャスダックに店頭銘柄登録することを店頭公開といいました。
その後2004年には55年ぶりに新たな取引所有価証券市場へと変わります。
しかしこのころになるとナスダック・ジャパンやマザーズなどの新興市場の競争が激化します。
そのためジャスダック証券取引所の大株主である日本証券業協会はジャスダックと大阪証券取引所を合併させます。
その後大阪証券取引場の3市場が合併し、現在のジャスダック市場が誕生します。
後に大阪証券取引場と東京証券取引所が合併すると東証傘下の証券取引所となります。
・マザーズ
大阪証券取引所のナスダック・ジャパンに対抗する形で1999年に設立されました。
ジャスダックとは違い最初から証券取引所であり、東証1・2部よりも
上場審査が厳しくなく、上場審査機関が短いことが特徴の市場です。
どんな特徴があるの
ジャスダックの定義は
「一定の事業規模と実績を有する成長企業や特色ある技術やビジネスモデルを有し、
より将来の成長可能性に富んだ企業などの多様な企業が上場する市場」です。
そのような中でジャスダックには「スタンダード」と「グロース」という区分があります。
スタンダード | グロース |
(企業の存続性) 事業活動の存続に支障を来す状況にないこと |
(企業の成長可能性) 成長可能性を有していること |
(健全な企業統治及び有効な内部管理体制の確立) 企業規模に応じた企業統治及び内部管理体制が確立し、有効に機能していること |
(成長の段階に応じた健全な企業統治及び有効な内部管理体制の確立) 成長の段階に応じた企業統治及び内部管理体制を確立していること |
(企業行動の信頼性) 市場を混乱させる企業行動を起こす見込みのないこと |
同左 |
(企業内容等の開示の適正性) 企業内容等の開示を適正に行うことができる状況にあること |
同左 |
その他公益又は投資者保護の観点から東証が必要と認める事項 | 同左 |
(JPXホームページより抜粋)
簡単に言うと「グロース」の方がより成長性を重視した区分といえます。
その分「スタンダード」より形式要件は緩いとも言えます。
半面スタンダードは「グロース」よりも安定している会社が多いといえます。
2019年5月6日現在スタンダードには678社、グロースには37社が存在します。(ここ1年くらいでスタンダードは30社くらい減っています)
・マザーズ
マザーズの定義は
「国内外を代表とする中堅企業が上場する市場(市場1部へのステップアップを視野に入れて上場する市場」です。
ジャスダックに比べるとより東証1部への鞍替えを意識しているとも言えます。
マザーズの特徴としては2011年より「マザーズ上場10年後に上場市場の選択を選択をする(市場選択制)」というものがあります。
マザーズは本来であれば1部への鞍替えを目指すのですが、基準が厳しい1部に鞍替えが出来ない企業も多いです。
マザーズのコンセプトを明確化するためにマザーズの上場継続か東証2部への鞍替えなどの見直しの機会を作ったのです。
このような制度もあってか マザーズの上場企業は286社です。
(こちらは逆に40社近く増えています)
どんな企業があるの
スタンダードの時価総額順に並べると
1位日本マクドナルドホールディングス(2019年5月6日)
(2018年1月末時点ハーモニック・ドライブ・システム以下同)
2位ワークマン
3位ハーモニック・ドライブ・システム
(セリア)
5位セリア
(エン・ジャパン)
グロース
1位ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング
(ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング)
3位スリー・ディー・マトリックス
(スリー・ディー・マトリックス)
4位リプロセル
(リプロセル)
5位シンバイオ製薬
(ぱど)
スタンダード1位の日本マクドナルドホールディングスは時価総額は6800億円です。
東証1部でいうとライオンや王子ホールディングスと同じくらいの時価総額です。
言わずと知れたマクドナルドの運営会社です。
ハーモニック・ドライブ・システムは精密制御減速装置の会社
セリアは100円ショップの大手
ユニバーサルエンターテインメントはパチスロ機大手です。
前回と比べると人材のエンジャパンが上位5位から外れてその代わりに小売りのワークマンがランキングに入っています(ワークマンプラスが成功したおかげで株価が2倍以上になったおかげです)
グロース1位から5位までは創薬やバイオベンチャーが続きます。
ジャスダックにはマザーズと違い、古くから存在しすでに独自の製品やサービスで
高いシェアを握り安定した企業も多いです。
グロース株はすぐには成果が出づらいバイオベンチャーが多い印象です。
・マザーズ
1位メルカリ
(ミクシィ)
2位サンバイオ
(CYBERDYNE)
3位ミクシィ
(そーせいグループ)
4位ティーケーピー
(PKSHA Technology)
5位PKSHA Technology
( サンバイオ)
1位のメルカリはスマホ向けフリマアプリの会社
2位のサンバイオは再生細胞薬の開発を行っている会社
3位のミクシィはモンスターストライクなどのスマホゲームの会社で
4位のティーケーピーは貸し会議室大手
5位のPKSHA TechnologyはAI開発を行っている会社です。
マザーズの上位の銘柄はIT・ロボット・バイオなど最新の技術の企業が
多い印象を受けます。
2018年の大きな変化といえばユニコーン企業の上場ですね。
1位のメルカリはその筆頭です(MTGは決算がまずかったので21位にいます)
新規にランキングに入ったティーケーピーのように大型買収により最新トレンドの銘柄入りして株価が急騰する銘柄もあるようです。
またサンバイオの用に株価が乱降下する銘柄もあります。
指数は何があるの
ジャスダックの指数としては
・日経ジャスダック平均
・ジャスダックインデックス
・JASDAQ-TOP20
・J-Stock Index
の4つ
マザーズでは
・東証マザーズ指数
・マザーズCore指数
の2つ があります。
ジャスダックインデックスや東証マザーズ指数はともに時価総額加重型で
算出されており、1部のTOPIXと同じ方法で算出されています。
(ジャスダックはスタンダードとグロースの2つも指数が出ている)
時価総額の大きい企業の株価の上がり下がりが影響しやすい指数です。
逆に日経ジャスダック平均は日経平均株価と同じ株価の算出方法です。
J-Stock Indexは、JASDAQ市場に上場する内国普通株式のうち、
時価総額・売買代金を勘案して選定した100銘柄を対象とした株価指数です。
上記3つの指数とは違い銘柄数を絞っておりジャスダックの700銘柄から
上位100銘柄に絞っております。
さらに上位 20銘柄に絞ったJASDAQ-TOP20というものがあります。
同じように、東証マザーズ市場に上場する内国普通株式のうち、時価総額、売買代金、利益及び配当状況等を考慮して選定する15銘柄により構成されてた指数です。
日経平均とTOPIXと同じように人気銘柄の動向と全体の動向は違うため、
このような指数をみることにより全体と上位銘柄の動向をうかがい知ることが出来ます。
今後
直近東証では4つある市場を3つに変更するという議論が活発になってきています。
背景としては
①東証1部の会社が増えすぎている
②ジャスダックのように新興市場にも関わらず社歴が長い企業がある。
③マザーズや2部からの内部昇格が多く、小粒な銘柄が多い
といった点があります。
新興市場の問題点にフォーカスを充てると新興市場にも関わらず創業から120年たってる企業があったり、
昔東証と大証が企業の誘致合戦をしていた時の名残で、マザーズからの1部への内部昇格の基準が緩く(逆にジャスダックは相対的に厳しい)、1部の銘柄数が他国に比べて肥大化していることにつながっています。
まだまだ議論点は多いですが、日本の成長企業と株主にとって良い再編になってほしいと思います。
参考資料
日経ジャスダック平均株価│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券
https://indexes.nikkei.co.jp/nkave/archives/file/nikkei_jasdaq_stock_average_guidebook_jp.pdf