日本の経済用語~東証2部・REIT市場~
皆さんこんにちはもちです。
最近は週1回更新をいかにして行うかが悩みの種です。
前回、前々回と1部と新興市場の話題を書いてきました。
今回は残りの東証2部と市場ではないですが、重要な指数であるREIT指数について書いていきたいと思います。
東証2部ってどんな市場
身も蓋も無い言い方をすると1部と新興市場の間にある市場です。
新興市場と同じで1部に昇格候補の銘柄が多いです。(もちろんすべてではないです)
大きな差は審査基準がより厳しくなっていることです。
項目 | 有価証券上場規程 (市場第二部形式要件) |
新規上場に係る市場一部銘柄への指定 (市場第一部に直接上場する要件) |
(1)株主数 (上場時見込み) |
800人以上 | 2,200人以上 |
(2)流通株式 (上場時見込み) |
|
|
(3)時価総額 (上場時見込み) |
20億円以上 | 250億円以上 |
(ジャスダック)スタンダード | グロース | |
(1)株券等の分布状況 (上場時見込み) |
|
同左 |
(2)流通株式時価総額 (上場時見込み) |
5億円以上 | 同左 |
(3)純資産の額 (上場時見込み) |
2億円以上 | 正 |
(http://www.jpx.co.jp/equities/listing/criteria/listing/02.html より抜粋)
時価総額や株主数等に差があります。
もちろん東証1部が一番厳しいですが、 ジャスダックスタンダードと東証2部を比べると
・時価総額は4倍
・株主数は4倍
となりジャスダックよりも厳しい基準を設けていることがわかります。
現在、東証2部には521銘柄が上場しております。2013年の571銘柄からみると右肩で減少しています。(その間に全体の株数は増加しています。マザーズや1部の増加の影響が大きいと考えられます)
どんな銘柄があるの
東証2部の企業を時価総額順(2018年2月26日時点)に並べると
1位東芝(2兆400億円)
2位朝日インテック(5123億円)
3位ベネフィットワン(2485億円)
4位D.A.コンソーシアムホールディングス(1819億円)
5位アトム(1719億円)
ちなみに1月末段階での東証2部の時価総額は10兆6000億円です。実質的に東証2部の5分の1は東芝(6502)で出来ています。
東芝はいろいろあり東証1部から降格してきたため時価総額が文字通りけた違いです。
(昔は同じような企業でシャープという企業が2部にいましたが、一足先に東証1部へと戻っていきました)
ちなみに東証2部の2位から14位までを足してやっと東芝の時価総額を超えます。近所の池に戦艦大和が入ってきたような状態です。いろいろと苦境に立っていますが、こういった面で見るとまだまだ巨大企業なんだと感じます。
1位はいろいろと訳ありなため2位の朝日インテック(7747)からが
東証2部らしい銘柄です。
2017年6月の売り上げは約427億円
医療用の器具を製造しており、低侵襲治療用や産業用のワイヤを製造しています。
3位のベネフィットワン(2412)はパソナ(2168)グループ傘下の企業で
福利厚生の代行を行っています。
4位のD.A.コンソーシアムホールディングス(6534)は博報堂DYの子会社でネット広告の広告枠の仲介事業がメインの会社です。
5位のアトム(7412)はコロワイド傘下の外食中堅企業。回転ずしやステーキ店を運営している企業です。
トップ5社を見ると、ニッチな産業だったり、東証1部の傘下の企業が多いことがうかがえます。
業種別でみると
・卸売り50社
・機械50社
・小売り45社
・電気機器42社
の順で多いことがうかがえます
どんな指標があるの
というよりも他に目立った指数がありません。
東証2部は指数的な面で影が薄いです。
東証第二部株価指数は東京証券取引所が算出・公表している、東証第二部に上場する内国普通株式全銘柄を対象とする株価指数をいいます。算出の方法はTOPIXと同じ時価総額加重型です。
算出基準日は1968年1月4日です。
100でスタートし、7392.67(2018年2月27日段階)です。
余談ですが、証券に携わっている人間でも2部の指数を見たり銘柄を見ることは
少ないのではないでしょうか。
しかし1999年1月から見たときに、2018年2月までに指数は6倍以上の増加を果たしています。(同じ期間で日経平均は約1.7倍です)
ですので成長性を鑑みると日経平均に採用されるような銘柄よりも東証2部の銘柄の方がいいと考えられます。(ただしアナリストのカバーがなかったり、時価総額が低いなど勧めづらい要素もたくさんあります)
次はREITの説明です。
そもそもREITってなに、特徴は
株は一つの会社が発行するものでしたが、REITは多数の投資家から集めた資金をもとにオフィスや商業施設、マンション等に投資を行いそこから得られる賃貸収入や 売買益を投資家に配分します。ですので法律上は投資信託になります。
REITは「Real Estate Investment Trust」の略で
日本では頭にJを付けてJ-REITと呼ばれることもあります。
REITは日本においては法律に基づき「不動産投資法人」という会社のような組織を作ります。そして投資証券を発行し、投資家から資金を調達します。その資金を元に不動産に対して投資を行い、得られたリターンを投資家に還元します。
J-REITは会社ですので、意思決定のための役員会が設置されます。
しかし実質的な業務を行うことは法律で禁止されているため
・資産運用の業務は「運用会社」
・資産保管の業務は「資産保管会社」
・一般事務は「事務受託会社」
に委託する形をとります。
また株主総会ならぬ「投資主総会」と呼ばれるものがあります。
ただし不動産は株や債券に比べ流動性が低く、取引価格もわかりずらいという欠点があります。ですので投資家の途中解約等に合わせて不動産の売買を行うことは難しいです。
ですのでJ-REITでは「クローズドエンド型」(基本的に解約には応じない)の仕組みをとり、市場に上場することにより流動性を確保しています。
また多くのJ-REITは年2回の分配金(会社の配当金に当たるもの)を出します。
会社であれば法人税等がかかりますが、J-REITの場合は収益の90%超を分配するなどの一定の条件を満たせば実質的に法人税がかからず、分配金はより多く出る傾向があります。
どんな銘柄があるの
東証のREITの銘柄には59個(2018年1月)の銘柄があります。
J-REITは2001年からスタートし、
現在では時価総額が12兆円近い水準となっています。
平均の分配金利回りでは4%となっています(2018年1月段階)
TOPIXの平均配当利回りは1.37%です。リーマンショックのJ-REITは配当利回りが8%近くなっていました。
投資対象の物件の時価総額は16兆円を超えます。銘柄ごとに投資方針や対象は違いますが、一番多い投資対象はオフィスで7.27兆円次に多いのは商業用施設で3.17兆円です。近年ではホテルや物流施設への投資が目立ちます。
背景には訪日外国人の増加やアマゾンをはじめとするECサイトの市場の拡大があると考えられます。
どんな指標があるの
有名な指数としては東証REIT指数があります。これは時価総額荷重型の加算方式であり、J-REITすべてを対象としています。
基準時を2003年3月31日としています。この時の時価総額を1000としています。現在の数値は1700.96です(2018年2月28日現在)
REITは金利の上下動に大きく影響されます。理由としては金利が上昇した場合借入金の返済額が上昇してしまうことにあります。J-REITでは投資家から資金を集めますが、それ以外にも銀行からの借入金によって物件を取得しています
そういった借入金は金利が上昇すると返済の負担が重くなり分配金がその分減少してしまいます。その為、金利の上昇はREITにとって、悪影響となります。結果としてREITの基準価格は下がりやすくなります
現在REITは毎月分配型の投信からの資金流出により東証REIT指数は下落傾向にあります。(金融庁の指導により毎月分配型の投信の販売が自粛され、高配当の投資信託にはREITを含んだものが多かったため)
また現在の価格は日銀のマイナス金利政策の恩恵も大きく、今後日銀が出口戦略を描くこととなった場合には大きな影響があると考えています。
仕事をしていても、配当利回りは株よりも良いJ-REITが多いと感じます。(日産や株価の急落で利回りが上がってしまった銘柄を除く)ただ肌感覚ではあまり知名度があるものではないためお客様の選択肢に乗ることが少ないような気がします。もっと有効活用されてもいいものではないのでしょうか。
最後に
普段の仕事ではPOやIPOといった場面でしかあんまり意識することは少ないところかもしれません。
しかしこういった多くの人が知らない、注目していないことを知ることが今後の提案の幅を広げることにつながると思います。
参考記事
http://www.jpx.co.jp/listing/co/tvdivq0000004xgb-att/tvdivq0000017jt9.pdf
マーケット概況|J-REIT.jp | Jリート(不動産投資信託)の総合情報サイト | ARES J-REIT View